ファイナルファンタジーはFFなのかファイファンなのか

今回のお話は巷でたまに争いを起こす”ファイナルファンタジーはFFなのかファイファンなのか”問題についてです。

私は別にジャッジでも何でもありませんのでここで絶対的な正当性を主張するつもりはありませんが、ただリアルタイムでファイナルファンタジーをやってきた一人の人間として、少なくとも自分の周りはこうだったという内容を記しておこうと思います。

近年のレトロゲーム界隈というのは、歴史の捏造が著しい状態になっていると思います。

これは後から界隈に入ってきた人達や、動画を観ただけで全てを知ったように話すいわゆるエアプ勢の声が大きいからだと思います。特によく目にするのが、当時の子達には全然知られていなかった、RTAで使われているテクニックや知識が当時からの基本戦略みたいに扱われている事や、BIIMシステムを使って面白くおかしい動画にする為にネタとして言っている事が通説みたいになっていたりする様。

この目で見てきた歴史が改竄されていくのは何とも寂しい気持ちになったので、たまにはこんな記事も書いてみようと思った次第です。

そもそもファイナルファンタジーのカセットは

まずはこちらの画像をご覧ください。

当サイトは一応アフィブログですので画像が都合上アフィリンクになってしまうのは申し訳ないですが、一番大きい画像サイズで貼りましたのでご容赦を。

話戻ってこれが初代ファイナルファンタジーのカセットなんですが、ご覧の通りカタカナでファイナルファンタジーと書かれていてアルファベット表記はないです。当時はまだ攻略本はともかくとして雑誌まで買っている子供は少数派ですので、必然的にこのカセットを観て判断する事になります。

このカセットを観てFFと略す子供などほぼいないはずだという事がおわかりになると思います。この時点では間違いなくファイファンです。

ちなみに続編である2と3のカセットですが

3の画像が少し見辛くて申し訳ないですが、2と3もカセットの名前はカタカナでのファイナルファンタジーです。

ただ初代と違うのは、アルファベット表記のロゴが記されるようになった事です。しかしこれはあくまでロゴなのです。

もっと言うと実は初代からアルファベット表記はありました。それは恐らく最も有名であると思われるこのシーン。動画でご覧ください。

スクエニの公式チャンネルより

少しゲームを進めた後、ここから本当の冒険が始まる!という、音楽も相まって一番印象的と言っても過言ではない場面。思い切りアルファベットでFINAL FANTASYと書かれています。しかしこれらを見ても子供たちの間ではFFとはならないのです。

何故なのか?

それはこれらがあくまでデザインの一環だからです。

例えば我々がイラストなり何なり、なにかちょっと西洋風なオシャレな作品を作った時に名前を添えてくれと言われたら、大体の人がローマ字で名前を添えたくなりますよね?普段思い切り漢字もしくはひらがなな名前なのに、ちょっとオシャレにしたい時はローマ字で名前を書いてしまう。しかし決して本名が漢字やひらがなである事実は変わらない。

そういう事なのです。天野喜孝氏のイラストによるパッケージにしろ、このオープニングテーマのシーンにしろ、かっちょよすぎてタイトル名というよりもデザインにしか見えないのです。その上カセットにカタカナで大きくファイナルファンタジーと表記されているのだから、略せと言われれば必然的にファイファンとなるわけです。

そんなわけでファミコン時代は間違いなくファイファンだったのです。少なくとも子供の世界では。

スーパーファミコン時代のファイナルファンタジー

実はファミコン時代のファイナルファンタジーシリーズはまだ隠れた良作レベルの存在でした。3でやっと傑作として世の中に認知されるわけですが、3の時点ではまだ誰もがやっているドラクエレベルの必修ソフトというポジションではありませんでした。しかし当時3をプレイした人の評価は高く、これからはドラクエよりファイファンの時代だよという噂話が囁かれるほどでした。

そして新時代の幕開けスーパーファミコンの登場となり、ローンチではないもののスーパーファミコン時代の最初期から子供たちの注目を浴びたのがファイナルファンタジー4でした。噂のファイナルファンタジーの新作ですからね。

スーファミを持っている子たちはみんなF-ZEROやマリオワールドをやりながらもファイファンフォー買うよな?という話をしていました。私も色んな人に何度もそう聞かれた事をハッキリ覚えています。なぜ覚えているかというと、ファイナルファンタジー4の発売日が私の誕生日だったからです。この時点では少なくとも私の周りでは100%ファイファンフォー呼びでした。

そしていざファイナルファンタジー4が発売されるわけですが、そのパッケージがこれです。

アルファベットでのFINAL FANTASY表記がメインであり、カタカナは読み仮名程度の存在感です。これ以降ファイナルファンタジーの表記はこのスタイルに統一されます。

つまりこのファイナルファンタジー4がターニングポイントになります。

新ハードに移ったことにより、スーパーファミコンで初めてゲーム機を買った人や4からファイナルファンタジーを始めましたという人もそれなりに多く、また3が傑作だったこともありメディア媒体からの注目も大きく、雑誌などでFF表記を目にする機会も増えました。それゆえここから参戦した人達はFF呼びをしていた人が多かった覚えがあります。

しかしファミコンからのユーザーのファイファン呼びはまだまだ絶対的で、スーファミから始めました的な人がFFとか言ってると、なんだコイツ都会派気取りか?みたいな対応をされていたのを覚えています。

そして完全に覇権ゲームとして発売されたファイナルファンタジー5のパッケージ。

ここからはもう完全に天下人となりファミコン時代の倍近く売れている、つまり数でファイファン派を駆逐できる状態になってしまいました。

雑誌などの媒体でガンガンFF表記され、公式的にも略称はFFというのが普及された事もあって、ここでついにファイファン派は滅亡したのでありました。一応クリスタルをメインに扱うこの5まではファイファンだと考える勢力もゲリラ的に存在しますし、リアルタイム世代的には理解できる感覚ではありますが、まあ5からは世論的にFFに統一されたのは間違いのない事実でしょう。

実際リアルタイムでやってきた私も、5からは全く違和感なくFFという略称を使います。むしろファイファンセブンとかエイトとか言うと違和感バリバリです。しかしファミコン時代の3作品は今でもファイファン呼びです。4は微妙でどっちもアリ状態です。

リメイクの時代

今までに書いた内容は地域差など多少あるかもしれませんが、リアルタイム世代なら大体は納得してもらえると思いますし、途中参戦の世代の人もおおむね理解できるのではないかと思います。

さてここでややこしい話になってくる原因になるのがリメイクの存在です。

4以降FINAL FANTASY表記で統一されてしまったので、リメイクとして発売されたファミコンソフトのファイファンもFINAL FANTASY表記になってしまいます。

これは一番最新のリメイク版ですが、リマスターという名前でありながらも、最早カタカナ表記などない状態です。この最新作に限らずリメイク版は常に大体こんな感じのパッケージです。統一されましたから。完全にFFです。

つまりリメイクから参戦した世代からするとFFが当たり前すぎて、たとえファミコン時代のゲームでもファイファンなんてあり得ないと感じてしまう状態なのです。ドラゴボとかジョジョきみょとかみたいな、ネタで無理やりつけられた略称だと感じるのでしょう。そしてこのリメイクからの後乗り世代であっても「自分は初代からFFやっているが?」と言ってしまうので話が面倒になってしまうんだろうなと思っています。

そして動画の時代になり、ファイナルファンタジーを扱う動画のタイトルはカタカナ表記であっても、略称はFFと表記する動画が大半です。公式的な略称ですからね。もうこうなってくると実際にファイナルファンタジーをやった事もなければパッケージを見た事もないという人達が当たり前のようにファイナルファンタジーの話をしますから、ますますファイファンという略称はあり得ないという感じになってしまいます。

FFという略称に不満も文句もないのですが

以上の流れが大体私の感じるファイナルファンタジーの歴史の推移なのですが。

公式で言われている以上、ファイナルファンタジーの略称はFFであるという事に異存はありません

しかし、ファイファン表記はあり得ないという意見には異を唱えたいです。

ファイナルファンタジーがファイファンだった時代は確実にありました

ネット上ではそんな呼び方は昔からあり得ないと熱弁する人もたまに見かけますが、そういう人はファイナルファンタジーのカセットを見て何をどう思ったのか不思議です。

ドラゴンクエストなんかは最初期から雑誌などの媒体で取り上げられることも多く、その際DQと表記されることはままありましたし、4に至ってはTVCMで「ディーキューフォー。ドラゴンクエストフォー。」とゴールデンな時間帯や番組の合間に散々流されたにもかかわらず、誰もディーキューなどとは呼びません。

当時は言葉を略すこと自体がそれほど絶対的な文化ではなかったし、特に頭文字を取って略すという手法は雑誌などの活字媒体で便宜的にやっている事という感じだったので、尚更FFという略称にはなり辛い環境だったと思います。

ですので、何らかの個人的な理由でファイナルファンタジーをFFと呼んでいた人はもちろんそれなりにいるでしょうが、そういう人ですら「昔からファイファン呼びはあり得ない」という感想にはならないと思うんですけどね。

「みんなは言ってたよ。自分はダサいから言わなかったけど」みたいのなら理解できるんですけどね。

余談ですが

ちなみにこのファイファン呼びが特に根強く残っているのはファイファン3のせいではないかと思っています。

なぜなら1と2はゲーム界に活気がありまだリアルタイム世代のゲーム熱も高いであろう時代にリメイクが発売され、強制的にFF表記に移行されたわけですが、3のリメイクは出る出る詐欺ばかりで全然発売されませんでした。

3Dで作られたリメイクがニンテンドーDSで発売されたのは実に25年以上経ってから!

さすがに長すぎだろ・・・というだけでなく、当時のニンテンドーDSの立ち位置は子供のゲーム機みたいな印象が強かったのでリアルタイム世代の所持率は低かったはずです。

じゃあ本体ごと買ってやろう!という熱心なファンも多い作品ではあったのですが、当時DS本体がすさまじい品薄状態で、海外輸入盤の本体ですら入荷即完売で手に入らないという環境でした。ちなみにこの品薄状態の時に駿河屋が買占めで値段を釣り上げていたことを私は忘れません。

まあそれは置いといて、更に言えばやりたくてもできないだけではなく、3の3Dリメイク版は実際手に入ったとしても内容が全然別物、少なくともファンからしたら別物な内容だったので、これはファイファン3ではない!ファイファン3はまだか!という状態に変わりはありませんでした。

つまり全然価値観が更新されないままファイナルファンタジーと向き合い続ける事になってしまったので、ファイナルファンタジー=ファイファンという意識が強いのかなと。

どうでしょうかね。私は実際ファイファンと言えば3というイメージが強いです。ファイファンスリーです。